寿司職人を目指す少年・将太の成長を描いた人気漫画「将太の寿司」。
コミックスの累計発行部数は1000万部を超えるなど、1990年代を代表するヒット作となりました。
しかし作中には矛盾だらけの設定も多く、「将太の寿司」に熱中するファンでさえもツッコミどころを指摘せざるを得ないのが実情です。
本記事では、「将太の寿司」に対する具体的なツッコミポイントをまとめました。作品のファンであれば誰もが首をかしげる設定の数々を、ぜひチェックしてみてください。
この記事のポイント
・ 将太の寿司の設定上の矛盾点
・ 作中世界の不自然さ
・ 登場人物の犯罪行為が問題視されない点
・ 将太の寿司の魅力
将太の寿司のツッコミどころとは
将太の寿司とは?
将太の寿司とは、寺沢大介 原作の料理漫画です。1992年から1997年まで週刊少年マガジンで連載されました。
主人公は北海道出身の高校生・関口将太です。 父親が経営する寿司屋「巴寿司」を大手チェーンの「笹寿司」に潰されそうになる中、新人寿司コンクールに出場します。そこで出会った鳳征五郎に認められ、東京の名店「鳳寿司」で修業することに。努力と根性で寿司の腕を上げていく様子が描かれています。
作中には、寿司職人同士の白熱した料理対決が盛りだくさんです。また、将太とライバル的存在の佐治安人との熱い戦いも見どころの一つです。
コミックスは全27巻まで刊行され、累計発行部数は1000万部を突破するなど、1990年代を代表する人気漫画となりました。1996年には実写ドラマ化もされています。
新人コンクール参加の矛盾
新人コンクールに参加している将太や清水らは、参加資格から見て新人とは思えない経験豊富な職人たちです。
例えば、大年寺三郎太は27歳で寿司歴15年のベテランですが、店に入っていた期間が短いため技術的には「新人」と定義され、コンクール参加資格が認められています。また、清水哲也もトップクラスの技術を持っていながら、コンクールに参加しています。
これらの参加者は、新人と呼ぶには経験が豊富すぎるため、新人コンクールへの参加には大きな矛盾があります。コンクールの参加資格は曖昧で、ルールを順守しているとは言い難い状況です。
電車に轢かれても復活する設定
大年寺三郎太は、笹寿司四包丁の女に電車のホームから突き落とされて轢かれますが、その日のうちに快復し、コンクールに参加しています。
これは荒唐無稽な設定で、実生活であれば轢かれたその日にコンクールに参加することは到底不可能です。
大年寺が一度轢かれた影響も描写されておらず、まるで何事もなかったかのように復活していることから、リアリティが全くありません。
常に満員の会場
コンクール会場には、ほとんどの試合で常に満員の観客が詰め掛けています。
しかし、新人コンクールという閉鎖的な寿司業界のイベントが、いつもアリーナ並みにファンを集める理由が描写されていません。
プロ野球の試合のように寿司ファンが組織化されているわけでもない中、これほどまでに多くの観客が詰め掛けるのは不自然です。
買い占めで勝負する風潮
コンクールでは、しばしば貴重な食材を買い占めして有利に勝負しようとする風潮があります。
例えば、紺屋碧悟は貴重な魚を買い占めて将太を苦しめようとしました。
また、切島傀はアサクサノリの養殖場に放火するなど、卑劣な手段で勝負しています。
これらの行為は、実際には重大な犯罪行為に値しますが、コンクール内では問題視されることなく容認されています。
柏手の安二郎
安二郎は、うまい寿司を食べると思わず柏手を打ってしまう癖があります。
これにより、コンクール内では審査員の柏手を待つという奇妙な空気が生まれています。
安二郎の柏手癖は審査員としての公平性に欠けるため、寿司の勝敗を左右する要因となっています。
プロスポーツの審判が、ある選手だけをひいきするような行為はフェアでないと同様、安二郎の柏手はコンクールの公正性を損なう要素です。
笹寿司の嫌がらせ
笹寿司は、巴寿司に対する嫌がらせを繰り返しています。
具体的には、巴寿司の店舗前に客引きを置いて客を奪う、仕入れの魚を売らない、船を沈めて魚を奪う、などの行為が描写されています。
これらは極めて反社会的な行為であり、実生活であれば訴訟沙汰になるレベルの違法行為です。
しかし、作中世界ではごく普通に行われており、現実離れした異常な光景が繰り広げられています。
切島傀の犯罪行為
切島傀は、コンクールで活用するために重大な犯罪行為を行っています。
500万円の皿を割ったり、アサクサノリの養殖場に放火するなど、通常であれば重刑が科される行為を平然と行っています。
これらの行為が作中でほとんど問題視されないのは明らかに矛盾しています。
切島が行った放火や器物破損は重大な犯罪であり、作中で容認される理由はまったくありません。
ツッコミどころある将太の寿司の魅力と面白さ
努力と根性を重んじる
将太は寿司の世界に入ったばかりの新人ですが、努力と根性を武器に着実に実力をつけていきます。
例えば、ライバルの佐治との決戦に備えるため、3日間ものあいだ徹夜で300個ものショウガの皮むきを行いました。さらに、希少なマグロの一部位を手に入れるため、嵐の中を小舟で釣りに出かけるなど、一般の人間が到底真似のできないような努力を積み重ねます。
その努力の甲斐あって、東京代表として全国大会に出場するまでに、わずか1年という短期間で圧倒的な実力を身につけることができました。最終的には、全国大会で見事優勝を果たすまでに成長を遂げています。
作中では、寝る間を惜しんで修行に励む将太の姿がリアルに描写されており、読者に対して「努力は裏切らない」という強烈なメッセージを発信していると言えます。
熱い戦いが見所
作品の見所として、寿司職人同士の熱い戦いのシーンが挙げられます。
将太とライバルの佐治や清水との対決シーンでは、誇りと技をかけた熱戦が繰り広げられます。試合の行方は最後の最後まで読者をドキドキさせ、猛烈な応酬に引き込まれていきます。
二人の寿司職人が互いに寸分の隙も見せずに白熱した勝負を繰り広げるシーンは、読者の心を高鳴らせる見所となっています。
料理対決の盛り上がり
寿司職人同士の対決では、時にはライバルである笹寿司の妨害も受けつつ、限られた時間と材料の中で課題をクリアしていく緊迫した展開が描かれます。
課題となる料理をどのように仕上げていくのか、読者も画面の先の出来事を楽しみにしながら、料理対決の盛り上がりに次第に引き込まれていきます。
想定外の出来事に翻弄される中、困難を乗り越えて課題を完成させるまでの過程は、読者の興奮と緊張を高める効果があります。
登場人物の個性
個性豊かな登場人物陣も、作品の魅力の一つとなっています。
主人公の将太やライバルの佐治安人、明朗快活な飛男、知的な慎吾など、それぞれ個性的なキャラクターが描かれています。
それら異なる個性を持つキャラクター同士のぶつかり合いや掛け合いも、読者に楽しさを提供する要素となっています。
ストーリーのわかりやすさ
ストーリー展開は基本的に、寿司職人を目指す主人公・将太の成長を描いたバトルものとなっており、非常に分かりやすく構成されています。
さらに、寿司対決というシンプルな形で対立が描かれているため、読者もストーリーを追いやすくなっています。
平易な物語構成が、作品の手軽な楽しみ方を演出していると言えます。
90年代の雰囲気
1990年代の漫画雑誌に連載されていたこともあり、作中には当時の空気感が色濃く滲み出ています。
登場人物の服装や髪型、恋愛の描写方など、90年代風の雰囲気が作品の至る所から感じ取れます。
当時の世代の読者にとっては、懐かしの雰囲気に触れることができる魅力的な要素ともなっています。
将太の寿司のツッコミどころ:総括
・ 新人コンクールの参加資格に矛盾がある
・ 轢かれても無傷で復活する設定が荒唐無稽
・ コンクール会場が常に満員であるのが不自然
・ 安二郎の柏手が審査の公平性を損なう
・ 笹寿司による巴寿司への違法な嫌がらせ
・ 切島傀の犯罪行為が問題視されない
・ 将太の努力と根性が描写されている
・ 寿司職人同士の熱い戦いが見どころ
・ 料理対決の盛り上がりが読者を引きつける
・ 個性豊かなキャラクターが魅力
・ ストーリー展開が分かりやすい
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