綾波レイロングヘアなぜ？14年間コアに封じられた苦悩とシンジへの思い

新劇場版エヴァンゲリオンにおいて、綾波レイがロングヘアーの姿で登場するシーンがあります。14年の歳月が経過した未来で、レイの容姿は一変しています。肉体の成長が止まったままのレイですが、なぜロングヘアーになっているのでしょうか。そもそも、破の出来事からその後レイは生きのびていたのでしょうか。エヴァンゲリオンにおけるレイとはいったい何者なのでしょう。

本記事では、新劇場版の設定を踏まえつつ、綾波レイロングヘアーなぜに迫っていきます。レイのロングヘアーの謎を紐解くことで、エヴァンゲリオンの世界観をより深く理解することができるはずです。レイの運命は、単なる登場人物の設定を超えて、作品全体の主題と深く結びついているのです。

この記事のポイント

・綾波レイがなぜロングヘアになったのか

・破で初号機に取り込まれてから14年間に何があったのか

・レイが14年間初号機で生き延びることができた理由

・ロングヘアのレイの設定が作品のテーマとどのように関係しているのか

綾波レイがなぜロングヘアになったのか
綾波レイロングヘアのなぜに迫る

綾波レイがなぜロングヘアになったのか

新劇場版のエヴァンゲリオンにおいて、綾波レイが長い髪のロングヘアの姿で登場するシーンがあります。この綾波レイのロングヘアの設定には、どのような意味があるのでしょうか。綾波レイがなぜロングヘアになったのか、その理由を新劇場版の設定を踏まえて考えてみましょう。

綾波レイは新劇場版では、セカンドインパクトの際にエヴァ初号機に搭乗し、エヴァの呪縛を受けています。エヴァの呪縛を受けた綾波レイの体は、14歳の時点で成長が止まってしまいます。肉体の成長はできなくなりますが、髪の毛だけは伸びることができるのです。そして、新劇場版の破において、綾波レイは第10使徒に零号機ごと捕食され、初号機のコアに取り込まれてしまいます。その後、14年間が経過し、新劇場版でロングヘアの姿で綾波レイが登場します。これは、初号機に取り込まれてからの14年間、コアの中で生きながらえた綾波レイの姿なのです。肉体の成長は止まったままで、髪の毛だけが伸び続けた結果、長い髪のロングヘアになったと考えられるのです。

このように、綾波レイのロングヘアは、初号機の中での長い年月を表現する演出として設定されたのだと分かります。時が止まった肉体とは対照的に、流れ続ける時の象徴としての意味合いがロングヘアにはあります。エヴァンゲリオンにおける固有のテーマである「人間の時間」を感じさせる表現であると言えるでしょう。

綾波レイは新劇場版で何が違うのか

新劇場版の綾波レイは、設定上、テレビアニメ版や旧劇場版とは異なる特徴を持っています。最大の違いは、リリスの魂を持った存在ではなく、ユイのクローンとして設定されている点です。リリスの魂を受け継ぐ存在ではないため、「調整」を必要とせず、アスカやマリのように通常の食事が可能な体となっています。また、ユイのクローンである点から、ゲンドウからの関心が強く、シナリオ通りに利用される存在となっています。一方で、シンジとの個人的な絆は残っており、シンジへの思いから行動する一面もあります。クローンであるがゆえの悲哀と、人としての思いが混在する、新劇場版の綾波レイの特徴だと言えます。

綾波レイは14年間初号機の中で生きていた

新劇場版の破において、第10使徒に捕食された綾波レイは、その後14年間、初号機のコア内で生き長らえていました。エヴァの呪縛により、肉体の成長が止まったままの状態で、髪の毛だけが伸び続け、ロングヘアとなっていました。初号機の中でシンジを見守ることを自ら望んだ形ではありましたが、14年もの永きに渡ってコアに取り残されるというのは、決して楽な状況ではなかったでしょう。それでもなお、シンジへの思いから、あるいはゲンドウのシナリオへの従属から、綾波レイは初号機の中に留まり続けたのです。

新劇場版の綾波レイの設定を知る

新劇場版のエヴァンゲリオンにおける綾波レイの設定は、旧作品と比べて大きく異なる部分があります。最大の違いは、レイがユイのクローンであるという設定です。新劇場版では、レイはリリスの魂を受け継ぐ存在ではなく、ユイの遺伝子情報を複製したクローン人間なのです。この設定のため、レイはリツコやゲンドウからの関心が強く、人類補完計画のために利用される存在となります。一方で、シンジとの個人的な絆は残されており、シンジへの思いから行動する一面も看取できます。また、クローンゆえに定期的な「調整」は不要となり、他の登場人物と同じように普通に食事をとることができるようにもなっています。このように新劇場版の綾波レイは、設定上、多くの点でこれまでのレイ像とは一線を画す存在として描かれています。クローンであるがゆえの宿命的な側面と、シンジへの人間的な思いとの間で揺れ動く、新たなレイ像がここにはあります。

エヴァンゲリオンの呪縛とは何か

エヴァンゲリオンの操縦には、専用の接続装置を介してエヴァとの神経連結を行う必要があります。このときパイロットにかかる「呪縛」とは、エヴァとシンクロすることで、パイロットの身体能力がエヴァの潜在能力を引き出すべく最適化されてしまうことを指します。具体的には、肉体の成長が停止し、年齢が固定されてしまいます。食事を必要とせず、水だけで生きていける体に変化します。痛覚も鈍くなり、驚異的な反射能力や回復力を得ることができます。しかしその反面、エヴァから切り離されると、肉体は急速に機能不全に陥ります。つまり、操縦者はエヴァに依存せざるを得ない存在となってしまうのです。これが、エヴァとの神経連結によってパイロットに降りかかる「呪縛」の内容です。

セカンドインパクトでの綾波レイの役割

セカンドインパクトを引き起こすため、ゼーレは複数のアダムス初号機を南極に送り込みました。その1体に搭乗していたのが、ユイのクローンである綾波レイでした。セカンドインパクト当時、レイはまだ14歳で、人類補完計画に利用するために造られた存在でした。レイがアダムスに搭乗した時、異常な覚醒現象が発生し、セカンドインパクトが起きます。レイ自身もこの時、エヴァの呪縛を受けることになったのです。ゼーレにとって、レイはセカンドインパクトを引き起こすための、可愛がられるが消耗品的な存在だったと考えられます。一方で、この出来事がレイの運命を大きく狂わせる分岐点ともなりました。

ゲンドウはなぜ綾波レイを必要としたのか

ゲンドウが綾波レイを必要とした理由は、レイがユイのクローン体であるからです。ゲンドウにとってレイは、失われたはずのユイを取り戻すための存在でした。ユイの記憶や人格の再現ではないにせよ、ゲンドウからすれば、レイこそがユイを取り戻すための唯一の手掛かりなのです。さらに、レイをシンジと親密にさせることで、シンジの感情を刺激し、人類補完計画の遂行に利用できると考えていたため、レイはゲンドウにとって欠かせない存在だったのです。クローンであるがゆえに、レイは自らの意思とは関係なく、ゲンドウのシナリオの中で利用され続ける運命を抱えていました。

綾波レイはシンジをエヴァに乗せるために

綾波レイは、シンジに好意を抱くように意図的に作られた存在でした。レイがシンジを想うことで、シンジの感情が揺さぶられ、エヴァへの同調率が高まるよう仕向けられていたのです。破でレイが第10使徒に取り込まれた際、それを救うためにシンジが覚醒し、初号機も擬似シン化することで、ゲンドウの計画は大きく前進することになります。つまりレイは、シンジをエヴァの操縦者として確保するための、不可欠な存在だったと言えます。ドロドロとした思春期の感情に訴えることで、レイはシンジをエヴァへと駆り立てる役割を与えられていたのです。

綾波レイロングヘアのなぜに迫る

綾波レイのロングヘアには、時の流れを象徴する意味以外にも、いくつかの深い意味が隠されているのではないでしょうか。例えば、記憶の共有という観点があります。新劇場版において、ロングヘアの綾波レイが黒レイことアヤナミレイの記憶であるツバメのぬいぐるみを抱えているシーンがあります。これは黒レイの記憶が綾波レイに取り込まれたことを示していると考えられます。複数のアヤナミシリーズの記憶が融合された結果がロングヘアの綾波レイなのかもしれません。

また、綾波レイとシンジの関係性の変化も考えられます。14年にも渡ってシンジを見守り続けた綾波レイの感情は、単なる思い人というより、家族のようにシンジを大切に思う気持ちに近づいたのではないでしょうか。ゲンドウのシナリオ通りに利用されつつも、レイなりにシンジとの関係を築いたのだと思われます。

このように、時の流れとともに移ろうする綾波レイの在り方が、ロングヘアの設定には表れているのだと考えられます。一筋縄ではいかない、エヴァンゲリオンの主要人物たちの魅力でもあります。

破で初号機に取り込まれてからの14年間

破のラストで第10使徒に捕食された綾波レイは、初号機に取り込まれ、その後約14年間、初号機の中で生き長らえていました。この間、エヴァの呪縛のために肉体の成長は止まったままでしたが、髪の毛だけは伸び続けており、その証左として劇場版で長い髪のロングヘアで登場します。初号機のコアに取り込まれながらも、レイはシンジとエヴァから離れることなく、ずっと傍らにい続けたのです。魂のみの状態で、言葉も食事もない閉ざされた日々が14年も続いたとしたら、それはあまりに過酷な環境だったことでしょう。しかし、シンジへの思いから、あるいはゲンドウのシナリオから逃れられない宿命から、レイはそれを耐え忍んだのだと思われます。14年間の初号機内での時間は、レイにとって辛い試練の時であったと同時に、シンジとの絆を確かなものへと変えた時間でもあったのではないでしょうか。

綾波レイの年齢は14歳のままだった

破の時点で14歳だった綾波レイは、その後初号機に取り込まれたものの、エヴァの呪縛のために年齢が全く進行しませんでした。肉体の成長が止まったまま、永遠の14歳を保ち続けた状態だったと考えられます。心理的には14年の時間が経過し、様々な記憶や経験を積んだはずですが、外見上はまったく変わらないままでした。これはアスカやマリなど、他のエヴァパイロットも同様ですが、思春期という変化の時を謳歌できない悲哀を含んでいます。年齢を重ねることで得られるであろう成長への思いと、年月の流れを止められないことへの言いようのない寂しさが、レイの14歳への囚われを物語っているのかもしれません。

綾波レイと黒レイは記憶を共有した

新劇場版において、ロングヘアの綾波レイが、黒レイが第3村で可愛がっていた鈴原トウジの娘ツバメの人形を抱えているシーンがありました。これは黒レイの記憶が、何らかの方法で綾波レイに取り込まれたことを示唆しています。おそらく、アヤナミシリーズ同士が接触することで、記憶の交換や共有が可能になったのだと考えられます。黒レイは既に存在しませんでしたが、綾波レイの中にその記憶の一部が保持されていた形です。パイロット同士の記憶の融合は、エヴァや人類補完計画といった、シリーズ全体のテーマとも関係が深いものだと思われ、非常に興味深い設定だと言えるでしょう。記憶を共有することで、両者はより深い絆で結ばれていたのかもしれません。

綾波レイの目的を果たした後の行方は

破で初号機に取り込まれてから長い年月が過ぎ、シンエヴァでついに綾波レイは自らの目的を果たします。それはシンジをエヴァの操縦者として確保し、ゲンドウのシナリオを推し進めることでした。シンジを思い、導いてきたこの先がどうあるべきか、レイ自身明確な展望が持てていたかは不明ですが、少なくともシンジへの想いから行動してきたことだけは確かでしょう。任務を全うしたレイのその後はどうなったのでしょうか。マリがレイを迎えに来るという描写からは、レイもまたゲンドウのシナリオから開放され、新しい世界での生を送れるようになったのではないかと考えられるのです。