アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に登場するヒロイン、綾波レイの正体と設定は作中で謎に包まれており、視聴者を惹きつける要素の一つとなっています。
青い短い髪が特徴的な綾波レイですが、その正体は一言で説明することは難しく、テレビアニメ版と新劇場版で設定に差異があるなど、複雑な背景を持っています。
本記事では、綾波レイの正体とは何かを、テレビアニメ版と新劇場版の違いにも着目しつつ、クローンであること、リリスの魂を宿した存在であること、人類補完計画における役割など、その設定を多面的に解説していきます。綾波レイの正体とは一体何か、その謎に迫っていきましょう。
この記事のポイント
・レイがクローンであること
・レイがリリスの魂を宿していること
・テレビ版と新劇場版の設定の違い
・レイの人類補完計画における役割
綾波レイの正体とは
綾波レイは、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のヒロインの1人です。青い短い髪と空を思わせる瞳が特徴的な14歳の少女で、EVA零号機の専属パイロットです。
綾波レイの正体とは何かについては、作中でも謎に包まれており、視聴者を惹きつける要素の1つとなっています。ここでは、その設定について詳しく見ていきましょう。
綾波レイの正体はクローン
綾波レイの肉体は、主人公である14歳の少年・碇シンジの母親である碇ユイの遺伝情報を利用して作られたクローンです。
ユイは2004年にEVA初号機の実験中に起きた事故で死亡しており、その遺体はEVA初号機に取り込まれエントリープラグ内に保存されました。しかし、ユイの魂はEVAとシンクロすることができず、取り出すことができませんでした。
そこで研究者の赤木ナオコが、ユイの遺体から採取した細胞を利用してクローニングを行い、2005年に初めて綾波レイが誕生しました。以降、予備のクローン体を作っておくことで、本体が死んでも同じ遺伝情報と記憶を持つ新しい肉体に魂を移植することが可能となりました。
NERVは綾波レイのクローン体を5体ほど準備しており、これまでに2体が死亡したため、現在は3体目のクローンとなっています。クローンという設定こそが、「私が死んでも代わりはいる」という有名なセリフが生まれた背景です。
綾波レイの正体はリリス
綾波レイの肉体に宿っているのは、第2の使徒であるリリスの魂です。
リリスは約45億年前に地球に落下した第1の使徒アダムと同様の使徒であり、アダムを補完する存在とされています。リリスは2004年に南極で発見され、ジェオフロントによってEVA初号機に封印されました。
NERVは人類補完計画を進めるにあたり、アダムとリリスという2体の使徒の力を利用することを画策しました。そこで、リリスの魂を綾波レイのクローンの肉体に移植することで、リリスの能力を人類側が利用可能な存在として綾波レイを作り出したのです。
リリスの魂を宿した綾波レイは、物語上アダムの使徒と対をなす重要なカギを握る存在です。リリスとの関係性こそが、綾波レイの正体を形作る根幹をなしていると言えます。ゆえに綾波レイは、単なるクローンというだけでなく、リリスの能力を利用するために生み出された、人類補完計画遂行のための特殊な存在なのです。
綾波レイの正体の設定
綾波レイのキャラクター設定は、監督の庵野秀明が最初に「血の通わない少女」というコンセプトを提示し、それを元にキャラクターデザイナーの貞本義行が具現化したものです。
「血の通わない」とは、文字通り生理的に月経がないことを意味しています。作中で綾波レイは出血する描写があるものの、一度も月経に関する言及はありません。これは生理機能がないことを暗示していると考えられています。
月経がない設定によって、綾波レイは生理的にも精神的にも普通の人間とは異なる存在であることを示唆しています。生理現象がないことで、感情の起伏も乏しく人形のように見えるのです。
また、貞本によると最初のデザイン案では黒髪だったそうですが、青い短い髪と赤い瞳へと変更されました。これはアニメのキャラとして視認性を高めるという目的と、アルビノ的な印象を与えるという効果があったからだと言われています。
綾波レイの正体のTV版と新劇場版の違い
テレビアニメ版では、綾波レイはリリスの魂を宿した存在と設定されている。リリスの魂は分割・複製が可能で、レイの肉体が破壊されても新しい肉体に魂を移すことができた。テレビ版には初号機、二号機のパイロットのほか、予備のレイが3体登場する。
一方、新劇場版ではリリスの魂設定が省かれ、レイたちはユイの遺伝子で作られたクローンとして位置づけられる。新劇場版には初期ロットのレイが2体、後期ロットのアスカタイプが3体登場する。魂の移植ではなく、クローン体の記憶データを移行する方式に変更されている。
このようにテレビと新劇場版で、レイの存在の本質に関する設定に差異が存在する。リリスの魂かクローンかで、レイの正体の解釈が変わる重要な違いである。
綾波レイの正体と使徒
綾波レイはリリスの魂を宿した存在ですが、人間のクローンを利用して誕生したため、純粋な使徒ではありません。
リリスは第2の使徒と呼ばれる存在で、アダムと並ぶ重要な生命体です。本来であれば、リリスの魂を宿した存在は使徒の一種と見なされるはずです。
しかし、綾波レイはユイの遺伝情報を持つ人間のクローンという容器を与えられて誕生しました。人の形をした容器ゆえに、綾波レイは使徒とは一線を画す存在となったのです。
物語上、綾波レイは他の使徒たちとは対照的に、人類の味方として立ち回ることになります。エヴァンゲリオンに搭乗して使徒と戦うという立場は、本来の使徒であるリリスとは正反対のものです。
このように、綾波レイは人間のクローンと使徒の魂を併せ持つ特殊な存在として、物語上における人類と使徒のはざまで、独自の役割を果たすのです。
綾波レイの正体の役割
綾波レイは物語において、人類補完計画を遂行する上で極めて重要な存在です。
ここでは、綾波レイの正体が物語上で果たす役割について見ていきましょう。
綾波レイの正体が生まれた理由 – TV版と新劇場版の違い
綾波レイが生み出された理由には、TVアニメ版と新劇場版で以下のような違いがあります。
TVアニメ版では、綾波レイは人類補完計画の遂行のために必要な存在として描かれています。リリスの魂とユイの遺伝情報を合わせることで、計画を進めるうえで欠かせない存在として誕生したのです。
一方、新劇場版ではシンジとの関係がより重視されています。新劇場版では、シンジと綾波レイの出会い自体がゲンドウによって仕組まれたものだと示唆されています。つまり、シンジの心を開く存在として綾波レイが意図的に作られたという側面が強調されているのです。
このように、TVアニメ版は計画の遂行のため、新劇場版はシンジとの関係のため、という違いがあります。新劇場版では、シンジとの繋がりこそが綾波レイ存在の根幹を成していると言えます。
綾波レイの正体の死亡について- TV版と新劇場版の違い
テレビアニメ版と新劇場版における綾波レイの死亡の扱いには以下の違いがあります。
テレビアニメ版では、第16話で綾波レイは使徒に乗っ取られ、シンジを庇うために自爆しています。その後、新しいクローン体である「3人目のレイ」として蘇生しました。これはリリスの魂を保持するための手段として描かれています。
一方、新劇場版『破』では、綾波レイはシンジの強い想いでEVA初号機のコアに取り込まれましたが、魂は初号機と一体化したままでした。そして新劇場版『||』では、シンジとの別れを惜しみながらエヴァシリーズと合一し、人類の運命を託される存在へと変貌を遂げました。
つまり、テレビアニメ版では計画の遂行のための手段としての死と蘇生が描かれたのに対し、新劇場版ではシンジとの絆から自らの存在を変革するものとしての死が描かれている点に大きな違いがあります。新劇場版の方が、綾波レイとシンジの関係性がより重視された扱いになっています。
綾波レイがクローンの理由
綾波レイがクローンとして設定されている理由について、TVアニメ版と新劇場版では以下のような違いがあります。
TVアニメ版では、リリスの魂を宿す容器としてクローンが必要とされた点が強調されています。人類補完計画推進のための手段としての側面が中心です。
一方、新劇場版では、シンジとの繋がりを描くためにユイの遺伝情報が用いられた点が重視されています。シンジの心を開く存在として綾波レイが意図的に作られたという側面が強調されています。
つまり、TVアニメ版は計画のためのクローン化が主眼であるのに対し、新劇場版はシンジとの関係性のためのクローン化が主眼となっている点に違いがあるといえます。新劇場版の方が、シンジとの絆が綾波レイの設定において重要視されていると言えそうです。
綾波レイの正体総括
・綾波レイはユイの遺伝情報を使ったクローン
・リリスの魂を宿した存在
・NERVにより人類補完計画のために作られる
・テレビ版ではリリスの魂設定がある
・新劇場版ではクローンの設定に統一
・テレビ版では複数のレイが登場
・新劇場版では初期ロットと後期ロットに分かれる
・新劇場版ではシンジとの関係性が強調される
・レイの死と再生の意味合いが版により異なる
・レイのクローンの目的が版により異なる
・レイは人間と使徒の間の存在
・レイは人類補完計画において重要
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